国際学会および特許解析も踏まえたディスプレー最新技術2024
12月 10
セミナー紹介
2024年1月に開催された国際展示会「CES2024」では、韓国のSamsungおよびLGがOLED搭載高輝度テレビを展示しました。これらのディスプレイは量子ドットOLED(QD-OLED)と白色OLED(WOLED)を搭載しており、ピーク輝度は昨年の2000から3000nitsに向上しています。さらに、XR(VR/MR/AR)の新製品も多く提案され、VR/MRではソニーおよびパナソニック資本の米国Shiftall(シフトール、東京・中央)が、ARでは中国Xreal(エックスリアル)が代表的な企業として注目を集めました。2024年2月には、ヘッドマウントディスプレー(HMD)「Apple Vision Pro」が米国で販売開始され、シリコン基板上に形成された8K高精細のOLED(OLEDoS)を搭載しています。
スマートフォン用OLED搭載ディスプレイでは、昨年の「iPhone15」や本年の「Galaxy S24」において2000nitsを超える高輝度化が実現されています。この高輝度化には、青色発光材料の効率改善、封止膜上にカラーフィルター(CF)を形成することで円偏光板を削除する構造(COE)の透過率向上が寄与しています。また、将来に向けてファインメタルマスク(FMM)蒸着による開口率改善を目指すホト加工製造プロセスの開発も進んでいます。
OLEDに対抗する次世代ディスプレイデバイスの候補として、マイクロLEDと量子ドット(QD)ELが挙げられます。前者は高輝度、後者は高色再現性に優れています。マイクロLEDは、低温ポリシリコンTFT基板へ転写することで超高級テレビ用途に、シリコン基板とInGan基板を貼り合わせたマトリクスLEDディスプレイ(LEDoS)を導光板(Waveguide)と組み合わせることで超軽量ARグラス用途にデビューしています。QD-ELは、全インクジェット(IJ)工程を用いて低コストを実現し、高色再現性を強みとしてモニターやテレビ用途へのデビューを狙っています。
本セミナーでは、性能向上が著しいOLEDの最新技術について解説し、次世代エース候補のマイクロLEDなどとの比較を通じて将来の動向を考察します。具体的には、青色発光材料の効率向上、円偏光板削除のCOE構造の透過率向上、発光層のホト加工による開口率向上、ボロン添加発光材料による色再現性向上などの技術を、IDWやSIDの国際学会、各社の米国特許公報の解析を通じて解説します。一方、マイクロディスプレイ技術では、OLEDoSの高色再現性化、LEDoSの1枚基板カラー化を出願特許解析により具体的な構造・製造方法まで詳しく説明します。
最後に、メタバースXR最新機器の光学系(Pancake、Birdbath、Waveguide)の効率を定量算出し、OLEDoS、LEDoSディスプレイへの要求輝度や優位性比較、コストを含めた開発方向性について議論します。
受講効果
- 最新のフラットパネルディスプレーの技術動向を習得できる。
- スマートフォン、IT、テレビ、XRの映像機器とディスプレー技術の関連性が理解できる。
- 最新のフラットパネルディスプレー用デバイスの性能比較が理解できる。
- OLED、量子ドット(QD)、シリコン基板に形成するOLED(OLEDoS)、LED(LEDoS)ディスプレーの新技術について最新の学会、特許公報情報を理解できる。
- ディスプレーパネルメーカーの技術やその技術動向を理解できる。